あまった自家用野菜の有効活用に「市」を闘催
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新潟県塩沢町にある雲洞庵は曹洞宗四大道場の一つ。年間10万人もの参拝客が訪れます。
その名刹のある同じ地区で「うんとふるさと市」が始まったのは平成6年のことでした。
現役は引退しても、自家用に野菜を作っている地域の老体有志11人で始めました。自家用と
いっても最盛期には食べきれずに捨ててしまう。これを何とかできないかと始めたのがきっかけ
です」と、発起人代表である青木菊栄さんは話します。
いろいろとみんなで考えた末、自分たちで食べきれない新鮮野菜を持ち寄り、雲洞庵参道入口
にある集落センター(駐車場)一角を借り、「市」を開くことになりました。
6月から11月まで毎朝6時から「市」に並ぶのは、ジャガイモ、カボチャ、キユウリ、モロヘイヤ、
枝豆など、採れたばかりの季節の野菜。開設当初は売るものがなくなってしまい、慌てて裏山で
山菜を摘んで店先に並べたこともあったとか。その山菜がまた好評で、今では予約まで入るとい
います。売れ行きのよさが励みとなって、「どうせ作るならもっといい野菜を作ろう」と、JAの生産
指導の方や農業改長普及員から夜に来てもらい、みんなで講習会を聞くほどの熱の入れよう。
「平均年令は70歳ですが、みんな若々しくて、腰の曲がった人は一人もいませんよ」と、青木さん。
その熱意にほだされて、やがて若い人も加わるようになり、今では会員が30人にふくれ上がり、
「市」の前は井戸端会議で毎日賑わっています。秋には地域の人たちへの感謝を込めて「収穫
祭」を実施し餅つきや甘酒、豚汁などを無料で振る舞い、最後は新そばを打ってみんなで食べる
といいます。この収穫祭は、今ではすっかり地城に溶け込んで、なくてはならない恒例の一大行
事になっているそうです。
このほか、特別養護老人ホームなどの福祉施設に野菜を寄付したり、町の「ポランティア祭」で
の野菜の売上金を寄付したりと、ポランティア活動も積極的に展開しています。
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わら細工や竹細工を通しまちづくりにも貢献
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青木さんと「市」のメンバーには、もうひとつの「顔」があります。
町の公民館活動の「趣味の会」での、わら細工や竹細工づくりで
す。作品はお祭りなどで販売し、売上金は社会福祉協議会に寄
付しているといいます。なかでも好評なのは、年末に町内の一人
暮らしのお年寄りにしめ縄を2本ずつプレゼントするというもの。
また、町内の小学校に出かけて、水鉄砲や竹トンボなどの竹
細工を指導、冬には毎年東京から訪れる小学校5・6年生の体験 |
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授業でわら細工を指導するなど、「うんとふるさと市」での活動も含めると、一年中休む暇がないほ
どです。
そんな青木さんですが、16年前にガンの手術を受げたといいます。以来、「何か世の中のために
なることをしたい」、そんな思いを持ち続けてきました。町内の大きなホテルがわら細工の評判を聞
きつけて、スキ−客の多い冬に来てほしい、との依頼がきても、「お客が町に末ることで、少しでも
活性化につながれば」と、引き受けたといいます。
このように、「市」のみなさんの地城へ向けた取り組みにより、若い農業者も「市」に参加し、若手
による村おこしの会もでさました。今は、特産の加工品づくりまで話題に上っているそうで、みなさん
の意気込みは、ますます熱くなっています。
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「いきいき人生」
−エイジレス・ライフ、社会参加活動事例、世代間参加活動事例−
協 力:総務庁長官官房 高齢社会対策室
発行者:田 中 英 雄
発行所:第一法規出版株式会社 より
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